患者会支援サービスをご利用いただいている「膵島細胞症患者の会」の高橋さんから、会の立ち上げの経緯と現在の活動、さらに患者会支援サービスに関するお話を伺いました。

高橋さん(前方右側)とインテージヘルスケアメンバー
膵島細胞症とは
腫瘍もインスリン抗体もないのに、膵臓のインスリン産生細胞が過剰にインスリンを作るようになる疾患。先天性高インスリン血症、(ネジディオブラストーシス)とも呼ばれます。
小児では、先天性高インスリン血症(No.78)・その他高インスリン血性低血糖症(No.79)という病名で対象疾患として制度化されていますが、成人及び小児から成人期に移行した場合は、制度から外れてしまいます。

膵島細胞症患者の会について

患者の会を立ち上げたきっかけを教えてください。

希少な難病の一つで患者さんが周りに全くいないので、自分の状況や自分の将来とか治療が全く分からなかった。お医者さん以外、尋ねる人がいなかった。
人に聞く方法はなんだろうな、不安を解消できる方法はなんだろうな、ということが(きっかけ)の1つですね。やはり、“不安”が動機です。

高橋さんご本人は、ご病気をどのように知ったのですか?

検査入院で先生から話があったけれど、ぴんと来ていない。前例がないから、先生たちも“多分この病気じゃないか”ということで絞り込んでいっている。
内科的(な治療)だけでは、原因も分からないから、外科的にいくよ、という話になって、自分では切ったら良くなるんじゃないかと、そういうくらいの感じですかね。
術後に担当の先生や看護師さんにいろいろ聞いたり、資料もコピーさせてもらったり、家族の話を聞いたりして、じわっと後から分かってきた
だから、そういう方がたくさんいるんじゃないかと、そういう不安な人がたくさんいるんだろうから、つないでいく患者会を作ったらいいのかな、ということです。
気持ちをつなぐということが原点かな。大本は不安です。将来の治療の不安…就業どうなるんだろう、と。
※ 確定診断までは、6か月かかったとのこと。

患者の会を立ち上げて変化はありましたか?

はじめは、先生から「患者会を作るんだったら、ホームページを作る方がいいですよ。病気を探している方が検索して、連絡があるかもしれません。」とアドバイスを受けた。
当時は、eメールのやりとりや仕事上でExcelを使う程度の知識で、ホームページのホの字も知らないし、外に発信することは全く考えていなかったから、どうしようかな、と。
でも、もう一人の方 に作って、と言われて。
※ 高橋さんが同じ疾病の患者さんとして初めて連絡が取れた方。現在は故人。

高橋さんが作成されたホームページ。一から勉強して作成されたとのこと。

ホームページを作成して、
周りから反響や問い合わせはありましたか?

病名とか低血糖とかで検索して、ホームページを見つけた人が、内容を見て「似た症状だな、ひょっとしたら私もこの病気じゃないか」と
電話やメールで問合せがくるようになりました。その後、研究班先生とつなぐことができたこともあり、(ホームページを作って)良かったと思います。

2018年8月1日に準備会から正式に患者の会となりましたが、変化はありましたか。

(eCOQOLO)アプリを始めたことの相乗効果もあり、問い合わせが月に2人ずつくらい来るようになりました。それまで、3か月に1人とか、半年に1人だったのが、月に2人ですから、すごい効果があるんだなと。
ホームページでは技術的にフォーム機能 を作りきらんのですよ。アプリがあることで、(入会の)敷居が下がった感じがしますね。
アプリを導入して、正式に患者の会となってから4名が新しく入会し、現在6名で活動しています。
※ メールフォームやお問い合わせの機能。

患者会でめざしていることを教えてください。

会の目的にあるとおりです。
まず、1つ目“世代を区切らずつないでいく、同病患者をつないでいく”ということ。世代が違っても生活で苦労しているところは同じ。治療で苦労されているから、その点と点をつないでいく作業がしたい、していかないといけないと(思っている)。
2つ目は、薬が特殊で非常に高いことや、血糖値を測定する機器が消耗品のため、毎月買い足す必要がある。そういった高額な医療費がずっと長い間続くんですよね。わたしも十何年続いている。子供さんも治ればいいんですけども、成人期になると、そういった医療費の制度的な谷間になっていることを解決できるようになればな、と。
3つ目は、この疾患を指定難病に。やはり指定難病になってないことから、そういう(医療費の問題など)セイフティーネットに引っかからない、いろいろな支援が受けられない状態になっているんですよね。
何とか指定難病になるようにするために、(患者会を作ることを)決めました。
膵島細胞症の現状について
小児慢性特定疾病対策の対象ですが、指定難病の対象とはなっていません。
このため、トラジション(小児法から外れる)や後天性の場合は、血糖値の測定キットが全額自己負担となるなど、医療費の負担が大きいのが現状です。

血糖値の測定も、実際に見せていただきました。

ご利用いただいている患者会支援サービスについて

利用してよかった点はございますか?

一番助かっているのは、チャネル(情報などの経路)が1つになったことです。
こちら(の人)には電話で話したり、こちらにはメールと、チャネル数が多かったもので、誰と何を話したか分からない状態になるし、ランダムで、時間の負担が大きかった。
こういう(アプリ)でいけば、1回1つの場所に投稿したら、全部同じところに返事(投稿)がくるから、全国の会員と1つのチャネルで(会話)出来るわけです。それが一番助かってます。
そして、輪がどんどんどんどん広がっているような感じですね。

チャネルとして活用していただいているとのことですが、掲示板はどのように利用されていますか?

会では、「みんなの広場」という掲示板を1つ作って、そこを使っている。みんなで話しやすいから、何でも話しますね。
薬のこと、病気のこと、症状のこと、とか、とにかくなんでも。「わたしどこどこ行ってきま~す」とか「いいですね」とか「家にいます」とかいうようなものも、いろいろ全部入ってくる。分けた方がいいのかなとも思ったんですが、最初なので気軽に話せるように今は一つにしています。

患者会支援サービスとしては、システム以外も含めて支援していきたいと考えています。何かご希望はありますか?

一番私が悩んでいるのが、同じ病気で相談できる相手がいないこと。日本には(同じ病気の患者は)少ないし、外国でもどれくらいいるのかわからない。
以前いらした方が、CHIという海外の小児の会とつながっていたように、グローバルにつなげていきたいけど、私はそういうつながりがないから。
小児の先生に聞いたときに、「外国ではもう少しいろいろな薬も出ている」と聞いたんです。日本では使えないけど、いい薬があるようで。
だから、アメリカで、膵島細胞症の人がこれ位いて、こういう薬飲んで、という世界の治療の情報とか(欲しいですね)。小児の方も、外国でこれくらいいて、こんなことして治療して治ったよとか情報が欲しいですね。

さいごに、膵島細胞症の患者さんにメッセージをお願いします。

私もこの病気で手術をしたときに、(自分の)病気を社会に言っていいものか悩みました。
でも、(社会や)人とのつながりの中で言っていかないと、自分のことを理解してもらえない。病気で治療しているから会社を休まなければいけないとか、入院しなければいけないとか、言わないといけない。必然的に(発信するように)なってきた。
でもいろいろな環境の中で、病気だからということで、つらい思いをされる方がいっぱいいるから、患者会とか表に出ることを躊躇する方もいると思う。
だけど、それぞれの役割がある。私はもう退職して、社会的には(表に出ることを躊躇することは)何もないし、やれることはやってたらいいかと思っている。自分の問題解決もあるし、困った人の役に立つってと言ったらちょっと大げさなんですけども。まぁ乗りかかった船でやろうと。もう一人の一生懸命されてた方が亡くなったんですよね。それがやっぱり一番の動機です。その人と約束したから、そういうことです。

高橋さん。ありがとうございました。
(インタビューを終えて…)
私たちが高橋さんと出会ったのは、2018年2月、難病センター研究会の熊本大会で登壇された高橋さんの話に感銘を受け、ご挨拶させていただいたことがきっかけです。
当時は準備会の位置づけで活動されていましたが、高橋さんのお人柄により、様々な人を惹きつけ、2018年8月には正式に患者会として発足したり、会員数を着実に増やされたりと、その活動をより充実したものにされてきました。
私たちも、微力ながら高橋さんの活動をご支援できたことを大変嬉しく思っています。
今回の取材も快く引き受けていただき、今後のめざす姿など、内に秘めた熱い想いをお話していただきました。素敵なお話を聴かせていただき、ありがとうございました。
膵島細胞症患者の会
膵島細胞症、先天性高インスリン血症、nesidioblastosis(ネジディオブラストーシス)の患者会
詳細は 「膵島細胞症患者の会」のサイト をご覧ください